2010年6月10日木曜日

映画『ラフマニノフ ある愛の調べ』

ラフマニノフ ある愛の調べ 


2007年 ロシア

原題 LILACS
時間 96分

監督 パーヴェル・ルンギン

出演  エフゲニー・ツィガノフ     (Sergei)
        ビクトリア・トルガノヴァ  (Natalia)
        ヴィクトリヤ・イサコヴァ  (Anna)
        ミリアム・セホン  (Marianna)
        アレクセイ・コルトネフ     (Steinway)



この映画は、全てが必ずしも、正確なラフマニノフの伝記というわけではないそうだが、
芸術家の苦悩、そして、その人生が垣間見ることができる。

ヴィルトゥオーソ(演奏の格別な技巧や能力によって完成の域に達した、超一流の演奏家を意味する言葉)として、演奏家としての仕事が多い中、作曲への熱意を持ち続けたラフマニノフ。

彼は、沢山の名曲を残しているため、当時、作曲に時間をたっぷり使うことが思うように出来なかったとは、知る余地もなかったが、
あらためて映画を見て、挫折や世間と自分の間の軋轢がある中で、
10年も書けない時期もあったが、作曲をあきらめなかったこと。

これにより、名曲が残されていることにきづいた。

当時、周りから言われる、演奏者として活動を絞ってやりなさいという
アドバイスを振り切ったり、振り切れない
ラフマニノフの葛藤の人生が描かれている。

劇中では、沢山の名曲が使用される。
中でも最後に使われる「パガニーニの主題による狂詩曲」は
感動的だ。

【ラフマニノフ】
ピアノ協奏曲 No.2
前奏曲嬰ハ短調 Op.3 No.2
前奏曲嬰ト短調 Op.32 No.12
交響曲 No.1
幻想小品集 Op.3 No.1
ヴォカリーズ Op.34 No.14
パガニーニの主題による狂詩曲
【スクリャービン】
練習曲 Op.8 No.12
【ショパン】
練習曲 Op.25 No.9


<ヴィルトゥオーソの面白い話>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヴィルトゥオーソは、またしばしば作曲家を兼ねることがある。ヴィルトゥオーソである作曲家には、19世紀のニコロ・パガニーニが典型であるように、第一に演奏家であったタイプと、バロック音楽のバッハが典型であるように、演奏衝動創作衝動に釣り合いがとれたタイプの2つがある。前者は、しばしば作曲においても自らの演奏技巧をひけらかす傾向が認められ、必ずしも作曲家として成功することができたとはいえない。

しかしながらヴィルトゥオーソの華麗な技巧や表現力は、多くの作曲家や、さまざまな楽器の演奏家を触発した。パガニーニの主題による作品は、リスト、シューマン、ブラームス、ラフマニノフ、シマノフスキ、ナタン・ミルシテイン、ルトスワフスキ、ボリス・ブラッヒャーらが手がけており、パガニーニの演奏そのものは、ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンストらの後進演奏家に啓示をもたらした。サラサーテの演奏は、サン=サーンスやブルッフに代表作を残させたほか、ブラームスとチャイコフスキーにも影響を与えている。さらに、シベリウスの協奏曲は、ブラームスとチャイコフスキーの両方に影響を受けているため、間接的にサラサーテの影響を受けたことになる。またパガニーニやリストの演奏技巧は、それぞれヴァイオリンやピアノという楽器の変革を促す大きな要因となった。

ヴィルトゥオーソは伝統的に楽譜を自由に扱う傾向があり、自作を譜面どおりに演奏しないだけでなく、しばしば他人の作品でさえ、書かれていないパッセージを演奏・挿入したり、書かれた音符を任意に飛ばすこともあった。たとえばラフマニノフのいくつかの録音は、その典型例として当時から物議を醸した。ヴィルトゥオーソは、このようにしばしば「解釈の恣意性・独断性」と結びついたため、その反動として、反ロマン主義を標榜した新古典主義音楽の時代に、「楽譜への忠実さ」が求められるようになった。

しかし、新古典主義の作曲家がバロック音楽を美化したにもかかわらず、おおむねバロック音楽の作曲家は、楽譜が自由に扱われることを前提に記譜する習慣をもっていた。バロック音楽から古典派音楽の作曲家は、たいてい何らかの楽器のヴィルトゥオーソであった。例外的に自分の意図を明確に楽譜に固定しようとしたのはバッハぐらいのものであり、ヘンデルの組曲やソナタは、演奏者による再構成がしばしば必要になると言われている。
(抜粋元:wiki
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映画では、幼少期が回想シーンとして出てくるが、そのシーンが個人的には好きで、
全体を通して、原題ともなっているライラックの花が、今と幼少期、そして大切な人、祖国と亡命先を結ぶ、ひとつの鍵となっているのがとても素敵だ。






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