2010年4月3日土曜日

展示『クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE WORKS PROJECTS』

先日、21_21 DESIGN SIGHTで開催されている
展示『クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE WORKS PROJECTS』を見に行った。

会場には、写真やコラージュ、オブジェを中心とした展示がされており、
また、映画の上映もされていた。

この展示でとても良かったのは、映画が上映されていたことだ。

美術館に行くと、それを書いた人、作った人がどんな人だか説明があっても、
もう、絵や写真の方が先に目に入ってしまい、読むほうに専念できなくなる。
混んでいる時だったりすると、なおさら、読もうという気にならない。

しかし、今回の展示では、映画の上映があったため、
クリストとジャンヌー=クロードがどのような人で、どのような思いで活動をしてきたのか、
鮮明に知ることができた。

街や、自然の中に、巨大なアートを仕掛ける彼等の活動からして、
いくつもの許可を得なければならない様子が分かった。
行政の許可を得るために、何年かかることか。

その年数ときたら、10年や20年、それ以上のものさえある。
しかも、まだ、許可がおりていないものもたくさんある。
ましてや、許可がおりる途中で、クリストとジャンヌ=クロード本人たちの「興味がなくなったから」そのプロジェクトをやめるということさえあるようで、
なんだか、すごい、壮大なプロジェクトだったと思う。


そこで、すごいと思ったのが、許可をとるまでの戦略。
首相にまで上り詰めるまでに、沢山の理解してもらえそうな権力者に会って、自分たちのプロジェクトを話す。
そして、さらに上の権力者を賛成させるための、戦略を教えてもらい実行する。
そうすると、分かってくるのが、首相とか上の位の人は、市民のが賛成しないのではないかという心配しているということ。
市民の賛成が得られていれば、良いのだ。ということで、2人は、街に出て行き、
ひたすらいろんな人に話しかける。
たとえ、変人扱いされても、頭が狂ってると思われても、
彼等はあきらめない。


自分のプロジェクトを実行するために、
街全体を巻き込み、議論をうながすという彼等のやり方はすごいと思った。
普通一人の人間が、そこまで多くの人間を巻き込むことができるか?やろうとするか?

そして、そのプロジェクトを実行するために、必要な莫大な資金は
彼等が全て、デッサンした絵やコラージュを売って稼ぐという。
企業などの協賛金を得るのではなく、自分たちで、必要な資金を用意することで、
完全に自分のプロジェクトができるのだという。

人間という枠を超えたようなこの活動はなんなんだ。
この現代アートがどうこうという話より、
このアートを実行した彼等。彼等の生き様が凄まじかった。

これは、一重にジャンヌ=クロードの父が将校?とかで、家柄が良かったことなくしては語れないと思うが。


こんなにすごいことをする人たちだから、現代アートの人たちだから、
もっと変わった人なのかと思ったが、
映画を見る限り彼等は、本当に賢い人たちだった。
クリストのなんでも実行する、ピュアな姿勢も
ジャンヌ=クロードのクリストを政治や金の問題から守る姿勢も
素晴らしかった。
すごく良い2人。


そして、この巨大なアート。
布を建物に付けたり、島をかこったりしているのものであるが
色がすごく美しい。
なんと、色を染色しているのだという。








なんだかすごいなと思った。


2月には、クリスト自身によるギャラリーツアーがあったというから、行きたかった。


でも、映画で、彼等の声は聞けたし、活動が良くわかった。
なにはともあれ、人にフューチャーした内容の濃い
すごく良い展示だった。

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